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次男と長男(とお父さん)の話を書きはじめたのですが、
また長くかかりそうなので気分転換とリハビリをかねて、
妄想しかけていたブロカカ小話をひとつ。
以前書いたバダカカ編と同じ時間軸で少し前の話になります。
以下オリ設定、キャラ崩壊注意。












自分が異質だということを、ブロリーは知っていた。
父親は、自分が昔のことなどすっかり忘れているかのように思っているらしかったが、ブロリーははっきりと覚えている。
己の高い戦闘力に付随する、その衝動。次々と沸き上がる残忍な感情。高揚感。
強制的に押さえられ薙いだ状態にされている自分にほとんど実感はなかったが、
どうしてそうされているのか、それが外れればどうなるのか、ブロリーは知識として知っていた。あるいは消せはしない本能からか。
だから他の者が自分を恐れているのも解っている。まだたった16歳の子供といえど、ブロリーの肢体は完成されたものだった。すでに頭ひとつ出ている身長は、まだ伸びるかもしれない。
ブロリーの知る他人は、二種類しかいなかった。父親と、自分の倒すべき者。
ずっとそうだった。仲間、という発想すらなかった。命じられたまま倒す。それだけ。
だが、いままでに感じたことのない感情を湧かせる人間が、たった一人だけ。
誰もが自分を恐れるなか、いつの間にか、自然に、自分の隣にいた。
それは、ブロリーからみれば、あまりに弱い存在だった。自分と同じ年だというのに、まるで未発達で、自分が少し加減を間違えればすぐに壊せてしまうだろう。
だがブロリーはそうしなかった。それは戦い以外にブロリーが知っている唯一の存在。
カカロット。
常に制御装置をかけられた、うっすらと靄のかかったような自我を保つ自分の視界に、ただひとつ、はっきりとした色彩をもって映るものだった。

自分たちは戦うことが生きることだ。
そんな中カカロットは、まだ一度も戦地に赴いたことがないらしい。
ブロリーが帰還し、次の任務まで束の間の休息を惑星ベジータで過ごすとき、カカロットはきまってやってきて、話をせがんだ。だがいつもしゃべっているのはカカロットのほうだった。
娯楽などなにも知らず、休息など欲しいとも思わなかったブロリーであったが、
よく動き、よく笑うカカロットを眺めているのが、一番好きだった。はやく、戦闘を終えて、帰りたいと思うようになったほどだ。
ただ、組み手をやりたがられるのが、少し面倒だった。
実力の差は歴然としていて、全力で向かってくるカカロットに自分は手加減しなければならない。
カカロットは本気でこいと言いはったが、そうするわけにもいかず、ブロリーはだまって手を抜いた。それでも最後にはブロリーが勝つ。それなのに、カカロットはいつも擦り傷だらけの顔で満足そうに笑うのだった。
その顔を見ていると、あらがいがたい感情が沸き上がってくることに、ブロリーは気づいた。
それは覚えのある感覚だった。凶暴な思いだった。
くるくると変わるカカロットの表情。思い切り壊したくなった。ねじ伏せたかった。
圧倒的な力で、押さえつけたら、カカロットはどうなるだろう。自分は、どうなるだろう。
けれど、その感情をおさめるのも、カカロットだった。
腹が減った、飯を食いに行こう。そういってさしだすカカロットの手。あたたかい。
触れているのは手なのに、自分のみぞおちのあたりがあたたかくなることを、ブロリーは知った。
押さえられた自我は常に蜃気楼のようにゆらめいていて、自分でもとらえどころがない。
だが、この瞬間、胸に宿る感覚が、「自分」なのではないかと。

次に会った時、カカロットは初めて遠征に出るのだと言った。少し高揚した頬をして、すごいだろうと自慢した。やっと初めてなのかと思ったがブロリーは何もいわず、少し口角を緩めてカカロットを見下ろした。おめえも喜んでくれるのか?ありがとな!とカカロットは笑った。小さいカカロット。並んで座っている背中に腕をまわすと、不思議そうにしながらもじっとしている。暖かい。これといる時だけ、自分は自分になる。
クスクスと笑って、だが、すこし神妙な口調でカカロットは言った。殺すって、どんな感じだ?
ブロリーにとってはいまさらで、息をするように自然なことだ。だが、カカロットの目を見てその言葉を聞いた時、またあの感情が、胸の中であばれた。
「いた…っ!?」
突如あがった声にはっとしたとき、カカロットが驚いた表情でこちらから離れようとしていた。
すぐに腕の力を抜いたが、じり、とあとずさりをしたその小さな体を、ブロリーはすぐに捕らえた。
「ブロリー?」
少し息苦しい程度の力で腕の中に閉じ込めらて、カカロットは問いかけた。いつも寡黙な友人が、口に出さないだけで、言いたいことがいつもちゃんとあることを、カカロットは知っていた。
だが、いま、優しく圧倒的な力で自分を捕らえる友人が、何を考えているのか、カカロットには解らない。当のブロリーは、いまだくすぶる感情を、はじめて「押さえなければいけない」と自分の意思で感じていた。腕のなかのカカロットの鼓動に、自分の早い鼓動が重なる。だんだんと落ち着いてくるにつれ、まるで一体になっていくような感覚がした。本気をだせば、今、カカロットを殺してしまえるのだと、初めて理解した。
違う。そうじゃない。側にいて欲しい。俺を、俺でいさせてくれ。
カカロット。カカロット。カカロット。
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memo

10.06.20

久しぶりすぎで恐縮ですがトラ空を1本。
あいかわらず俺得です。
トラ空…増えないかなぁ…

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